2011年
10月
21日
金
写真はH.D.ショベルヘッドのシリンダー、社外新品です。
精度が信頼できないので、いきなり0.005OVSでボーリングするとの事。表面だけサラッと削ってみました。
非常に複雑怪奇な当たりになっています。垂直度、円筒度、真円度がデタラメなのが見てわかります。
もちろんこの後規定寸法まで加工すれば全てきれいに取りきれましたが。Stdで組んでいればおそらくかなりの距離のナラシが必要だったかと。
割と良く有る質問「○○社の△△を組もうと思うのですが、アレってどうなんですかねぇ」
つまりは精度とか材質、耐久性、実際組んだ評判などを聞かれている訳だが、
答えは大体決まっていて、「一応測定して、必要であればキチッと加工修正してから組んだ方が良い」
つまりは一概に○○社のは良くて□□社のは劣るとかって事は言えなくて、ほとんど無名のメーカーの物で全く問題なかったり、逆に有名ドコロのブランドでおかしなのが混ざってたり等。
エンジン部品は新品を測らずに組むのはギャンブルですね。しかも当たってトントンで外れたら大ヤケドです。
2011年
9月
17日
土
しばらくブログ更新サボっていました。
ありがたい事に仕事の方がかなり入って来ていまして、忙しくしております
少し前に納めた、ショベルのシリンダーヘッド、リアEXのバルブガイド取付部のクラック修理
作業前の写真を撮り忘れたが、依頼主様のもとで既に溶接にトライし、断念してからの持込
鳩糞状態&熱変形でポート奥までクラック走っているというカオス状態でした。
正直、溶接の手直し仕事はあまり受けたくない。
そうでなくてもアルミ鋳物の、しかも古い奴は、油吸ってるわ気泡があるわで、あまり気が進まないのに
何とかごまかそうと下に不具合あるのに盛ってたり、不純物やら巻き込んでいたり、過大な入熱で母材が脆くなっていたり
今回も「助からない確率高いですよ」とお断りを入れてから作業に取り掛かった。
前回の溶接部分&クラック部までざっくり削り取ってから盛っていく訳だが、
ポート内などほとんどトーチが振れないので、段取りを間違えると後から余盛りという訳にもいかず
2011年
8月
22日
月
スバルの360cc軽用 左:純正 右:流用品
ポート位置がピストンピン方向に対して左右斜めにオフセットしている非常に珍しい形状
ボア61.5→66ミリで410ccになる計算
旧車等で、修理を行うに当たり「部品が無い」場合の対処法は
のいずれかになると思う
1について、解決まで先の見えない長い時間を費やすことを覚悟せねばならず、上手く見つかっても往々にしてプレミア価格だったりする
2、修理に要するコストと、修理後の品質性能の見極めが重要
また、既に充分実績のある技術・手法と、中には疑問符のつく手法もあるので注意を要する
3、物によっては、大量生産で数万個の数を作るのと、1個~数百個程度作るのでは単価が大幅に異なる場合がある
そのような訳で他機種流用というのはそこそこ需要がある
エンジン部品の事例として多いのが、ピストン、バルブ、コネクティングロッド・・・といった所
いずれも破損品の修理に向かない、製作するのにコストのかかる部分
また単純に欠品の代用だけでなく、排気量拡大、ビックバルブ等々スープアップとしての側面も大きい
ピストンの場合、ボア、ピン径、ピンハイト(コンプレッションハイト)、全長、ピストントップ形状・・・といった条件から検索していく訳だが、
2ストロークの場合、ピンハイトは燃焼室容積・圧縮比だけでなく、掃、排気ポート開口時期を規定し、
さらにスカートの長さ、形状が吸入ポート開口時期を規定する
多少であれば各部の加工で辻褄合わせる事が出来るとしても、条件に合った流用品を探し出すのは非常に困難である
また、最近の設計ではケースリード等が主流で、吸入側へ切欠きや開口があるものが多く、旧車に多いピストンバルブへの流用品探しは選択肢が非常に狭まる
故に今回のスバル360の様な特殊形状の流用ピストンが見つかるのは、奇跡と言っても差支えないと思われる
当社は流用部品のデータについて相当量の蓄積があるが、今回のように上手く見付かる事例は約8割といった所か
なお流用部品等による改造のいかなる結果も各人の自己責任である旨念のため書き置く
2011年
7月
27日
水
ヤマハJET760cc用クランク。
PWCも4スト化が大分進んできましたが、まだまだ2ストのこの手も根強い人気があるようです。
これからも長く大事に乗りたいのでキッチリO/Hとのこと。お任せください!
全てに共通する事ですが、特にこの手のクランクについては、「壊れる前に持ってきてください」という事です。
異音がする、あるいは一部の部品が完全に破損してからだと、修理しようと思っても必要部品がかさんだりあるいは修理不能となる場合が多い。
大破に至る前の適切な時期にオーバーホールを行い、消耗部品を交換し、適当に歪んだ部品を修正を行う事でその後の歪みが少なく、さらに高精度の組立、メーカーでは行っていないバランス修正を行えば、正直「新品を買う以上の価値があります」。
2011年
7月
27日
水
溶接肉盛り終了。
プラグ穴とシートリング穴は完全に埋めてしまいます。
電源の関係で深夜しか溶接出来なかったので(節電という訳ではない)、思ったより時間食いました。
既に製品となっている品物の補修溶接では、加工しろが十分取れませんので、歪みを少なく、また余盛りを充分に、アンダーカットの出ないように心がけます。
加工途中で「肉が足りない」というのは、脱脂からまた全部やり直しになってしまいますから、何としても避けたい。
そのような訳で写真の様なテンコ盛りになってしまいます。この辺りもう少し洗練されれば良いのですが・・・まだまだ精進が足りない様です。
色々気を使っているのですが、アルミ鋳物の、さらに使用品では油分等不純物を吸い込んでいてどうしても細かいブローホール等出てしまいますね。今回のは最小限に抑えられたと思います。
次回、NCにて燃焼室ドーム形状総切削加工へと進みます。
22時08分本日の業務終了。以上。
2011年
6月
23日
木
ハーレーのクランクケース 上面の修正面研。
ここはイケールでセットするか、横向きの機械でやるか・・・というのが普通の加工屋
これを見れば「ずいぶん面倒なことやってるな・・・」となるでしょう。
当社ではクランク軸の水平を出してから加工します。
なぜって?そりゃケースが歪んでるからです。
上面は必ずカム側が下がってます。何故かは解りませんが、常にプッシュロッドで突かれてるからではないかと思っています。
2011年
6月
21日
火
ショベルヘッド、先日紹介とは別の車両。
「ガイド入れ替えて暫く経ったが、オイル下がり?白煙」とのこと
確かにステムのガタはさほどでもない。とはいえ大体原因は読めるのでガイドはさっさと抜いてしまう。
2011年
6月
20日
月
営業時間を
10:00~21:00
日曜日定休
といたします。
これまで特に決めずにやってきたのですが、さすがに帰りが遅すぎるということで。
21時25分本日の業務終了。以上。
2011年
6月
11日
土
本日はダミーヘッド締付けが3台そろった。
ダミーヘッド:シリンダーを加工する際にヘッド(やクランクケース)の位置に取り付ける冶具。
エンジン組立状態のシリンダーの歪みを再現した状態でシリンダーを加工することにより、組立後の歪みをキャンセルする効果がある。高精度のボーリング&ホーニング加工には欠かせない。ハーレーの業界ではトルクプレートとも云う。
2011年
6月
07日
火
意外と「メッキシリンダーにホーニングは×」という言説が未だまかり通っているわけですが。
もちろん焼付きキズダラケのをホーニングで修正しようったって無理な話ですが、
メンテナンスとして表面状態の改質としてのホーニングは積極的にお勧めしたいと思うのであります。
写真はスノーモビルプロショップからご依頼のポラリスのシリンダー。消えかけのクロスハッチを再生。オフシーズンにしっかりメンテナンスしておけば安心でしょう。
メッキシリンダーに限らずホーニングの現場は、砥石の選定、ホーンの管理調整等々結構気を使います。
あと、フ○ックス○ーン(ブドウみたいな奴)や、輸入工具屋で売ってるドリルに付ける奴は、正直いじり壊してるに等しいですから。悪いこと言わないので是非止めて頂きたいと思います。
21時30分本日の業務終了。以上。